奄美海洋展示館で、世界自然遺産”奄美大島”の海を知る

奄美海洋展示館の外観

2021年7月、沖縄本島北部や西表島とともに世界自然遺産に登録された奄美大島。東洋のガラパゴスとも称され、希少な動植物が数多く生息する奄美大島ですが、水族館がある事はあまり知られていません。2022年にリニューアルを遂げ、チンアナゴの展示も始まった奄美海洋展示館。小さいながらも魅力的な水族館の見どころを紹介していきます。

奄美海洋展示館はこんな水族館!

奄美大島は、地理的には九州と沖縄のちょうど中間あたりに位置しています。奄美大島一番の市街地である名瀬からほど近い、大浜海浜公園内にあるのが奄美海洋展示館で、鹿児島県の離島の中では唯一の水族館となっています。

入館するとまず目に入るのが、奄美の海中地形を再現した奄美エコラマという大水槽。館内最大の水槽には、奄美近海の魚やウミガメが展示されており、2階にある浜辺を模したスペースではウミガメにエサをあげることができます。飼育員さんから無料でエサをもらい水辺に立つと、アオウミガメが近付いてきました。近くにエサを落とすと勢い余って上陸してくるアオウミガメ。ごはんに夢中になっている間に甲羅や首元の感触を楽しませていただきました。

奄美の海中地形を再現した奄美エコラマの画像
奄美の海中地形を再現した奄美エコラマ
餌やり体験で海岸に上陸してきたアオウミガメの画像
餌をもらいに上陸するアオウミガメ

入口付近の展示スペースは、外光が入りとても明るくなっています。光が反射して水槽が見にくい場合もありますが、その反面動きが速い生きものも比較的簡単に撮影することができるので、奄美らしい熱帯の魚の撮影に挑戦してみるのも楽しい。

モンガラカワハギの画像
不思議な模様のモンガラカワハギ
どことなく人間みのある顔のヒブダイ
どこか人間味のある顔のヒブダイ

2階は標本や映像展示を中心に、博物館風の展示になっています。貝殻やサンゴのかけらを使った海のクラフト作り体験や砂絵作りなど、ワークショップも安価に体験できるのが嬉しい。

マッコウクジラの骨格標本の画像
漂着したマッコウクジラの骨
貝殻や砂を使ったワークショップの画像
貝殻や砂を使ったワークショップ

マングローブを再現した水槽や、奄美ならではのは虫類、両生類も展示されています。

オキナワキノボリトカゲの画像
オキナワキノボリトカゲ
アマミシリケンイモリの幼生の画像
アマミシリケンイモリ

1階のアクアリウムエリアも奄美ならでは生きものが展示されています。人気の(?)危険生物をはじめ、アマミホシゾラフグという海底にミステリーサークルを作るフグも、生体の展示こそありませんが模型や映像で紹介されています。

危険生物を展示する水槽の画像
奄美の危険生物
アマミホシゾラフグの巣の模型の画像
アマミホシゾラフグが作るミステリーサークル

チンアナゴの展示とチンアナゴグッズ

1階最奥、変わった生態の生きものを集めた展示エリアにチンアナゴはいました。カウンター状のスペースに置かれた大きな水槽の特徴は、なんと言っても水族館としては珍しい高級ガラス水槽ということ。水族館で一般的なアクリル水槽はメリットも多いですが、どうしても傷が付きやすく材質上歪みが生じてしまいます。そのため改めてガラス水槽でチンアナゴを見るとそのクリアな見え方におおっとなります。

チンアナゴの展示水槽の画像
チンアナゴ水槽
チンアナゴの画像
写真もキレイに撮れます

同居魚のマンジュウイシモチはチンアナゴのいる底面まではほとんど降りていかないので、お互い干渉せずのびのびと過ごしています。背景が暗い事も写真撮影にとっては好条件で、正面顔のサービスをしてくれるチンアナゴをばっちり捉えることができました。

マンジュウイシモチの画像
同居魚のマンジュウイシモチ
チンアナゴにのぞき込まれているような画像
チンアナゴの正面顔

チンアナゴグッズに関しては、グッズショップを確認しましたがチンアナゴのオリジナルグッズはありませんでした。またオリジナルではない一般のチンアナゴグッズも僅かな取り扱いです。というより奄美大島の滞在を通して、チンアナゴの商品を見かける事はほとんどありませんでした。ハブやアマミホシゾラフグ、アマミノクロウサギなど、魅力的な固有種をもつ奄美大島ならではのチンアナゴ冷遇なのかもしれません笑。

所要時間や館内の食事について

所要時間は見学だけなら40分~1時間程度。映像展示やワークショップを体験するなら+αという感じです。施設は海岸と直結しており、海岸で貝殻やサンゴを探してみたり、少し進むとちょっとした磯のようなスペースもあるので、自然の生きもの観察などして、疲れたら館内に戻るという事もできます。

エントランスにカフェがあり、食事について困ることはありません。館内には飲食可能なテラス席がありますが、公園周辺に商店は無いのでお弁当などを買って持って行くのであれば市街で購入していく必要があります。

大浜海浜公園の砂浜

まとめ

以上、世界自然遺産の島”奄美大島”にある、奄美海洋展示館の紹介でした。沖縄の水族館のような巨大な施設ではありませんし、ここに行くために奄美大島へ飛ぼう!とまでは言いにくいですが、眼前に広がる海を含め、期待した以上に楽しい施設でした。

長いこと水族館巡りをしていますが、ウミガメと自由にふれあえるというのは初めての経験でした。生きものとのふれあいには賛否両論ありますが、ふれあって初めて生まれる親しみや興味、関心といった気持ちは間違いなくありますので、機会があればぜひ一度体験してみては。

全体的に奄美らしい生きものの展示となっているため「この生きものは本州にはいないな、水族館でよく見たいきものはこの変に生息しているのか!」といった風に、ある程度生きものに興味を持ってから行くとより楽しめると思います。マリンアクティビティーの前後に訪問するのも理解が深まりオススメです。

海水度 ★★★
淡水度 ★
海獣度
ちんあな度 ★★★

奄美海洋展示館の施設情報

所在地
鹿児島県奄美市名瀬大字小宿701−1

営業時間
09:30~18:00(最終入館は17:30)

入館料
大人(高校生以上):500円
小人(小学生・中学生):300円
幼児(3歳以上):100円

URL
https://www.ohama.marutani-amami.com/ocean-exhibition-hall


こそこそオタク話

ウミガメにエサをあげられる施設は珍しくないが、触ってもいいという施設は本当に珍しいと思う。体験時はそういうものかと思っていましたが、ウミガメは基本的に産卵以外では上陸しないと言われているので、エサをもらいに浜辺に上がってくるのはよくよく考えると珍しい光景だ。

固有種や希少な動植物が多いからだとは思うが、本当に奄美大島ではチンアナゴグッズを見かけなかった。チンアナゴ類の日本の歴史において、奄美大島は重要な地ではあるんですよ。チンアナゴとニシキアナゴが日本で初めて採取されたのは奄美大島だし、近年ではニゲミズチンアナゴが奄美大島で採取されて新種記載されているんだけどなぁ…。