2022年3月 横浜中華街のど真ん中に、日本で唯一「占い」をテーマにした水族館が誕生しました。「開運魚からフォーチュン(福)をもらえる水族館」とは一体どんな施設なのか? チンアナゴの展示はある? 気になるポイントを解説していきます。
フォーチュンアクアリウムはこんな水族館!
フォーチュンアクアリウムは横浜中華街の中心部にある商業施設「チャイナスクエア」の3階にある。水族館の入口は大通りから少し入った所にあり、路地のような通りを進んでいくとチンアナゴの案内板がお出迎え。案内に従ってエレベーターで3階へ上がろう。
入館する際、まずはタブレット端末で生年月日などのプロフィールを入力し「開運うおみくじ」を引く。開運うおみくじにはメッセージや「フォーチュン水槽番号」が書かれており、対応する番号の水槽を館内で探して観察してみようという仕掛けになっている。
各水槽には番号と、展示されている生きものに因んだメッセージが書かれている。砂から顔を出してゆらゆらしているチンアナゴなら「流行には敏感でも 心はゆらゆらリラックス」、青い体色が特徴のルリスズメダイなら「青い、って言われてもかまわないからさ」といった具合だ。
展示エリアを進むと、途中グッズショップを経て最後のエリアは靴を脱いで上がる作りになっている。すべり台型の水槽などユニークな展示の他、ソファも多数設置されくつろげるよう工夫がなされている。図書コーナーもあり、占いや生きもの、動物園水族館に関する書籍などが置かれていた。
チンアナゴの展示とオリジナルグッズ
気になるチンアナゴの水槽は、中盤の健康運エリアにある。長寿・健康の象徴として縁起がいいとされる、長いからだを持つ生きものをテーマにした展示エリアには、チンアナゴをはじめニョロニョロのいきものが大集合。ハナヒゲウツボやホワイトリボンイールなど、人気の美しい生きものも展示されている。
最後のエリアを除くとここだけ水槽前にベンチが設置されており、チンアナゴたちを座ってゆっくり眺められるのは大変ありがたい。
チンアナゴの水槽は大きな水槽ではないものの、訪問時はそれほど混雑することもなくじっくり眺めることができた。SNS等ではニシキアナゴもいる様子が見られるが、この日は会えなかった。水族館としてはやや珍しい黒バック水槽のため、メリハリのある写真が撮影できる。
フォーチュンアクアリウムではキービジュアルにチンアナゴが採用されていることから、チンアナゴのオリジナルグッズも存在する。クリアファイルにステッカー、缶バッジと、ちょっと縁起のいいチンアナゴグッズを購入できる。グッズショップには一般のチンアナゴグッズも充実していた。
所要時間や館内の食事について
公式の所要時間目安は30分~1時間と紹介されており、おおむねその通りと考えて問題ないが、解説をじっくり読んで写真も撮るとなると1~2時間程度を見込んだ方がいいかもしれない。神奈川県には複数の水族館があるが郊外の施設が多く、街中で空いた時間にさっと行ける施設は貴重といえる。
食事に関しては館内にレストランはないが、中華街のど真ん中に位置しており、外に出て飲食に困る事は無い。またフォーチュンアクアリウムは当日なら再入館でき、館内での飲食も可能であることから、中華街の食べ歩きグルメを持ち込むのもいいだろう。ただし、ソファは多数あるもののしっかりとしたテーブルはないので、お弁当などを持ってくるのは向いていないので注意されたい。
まとめ
日本で唯一「占い」をテーマにした水族館、フォーチュンアクアリウム。占いの街でもある横浜中華街の水族館に、明日をちょっと元気に生きるためのヒントを探しに行ってみませんか?
占いがテーマと発表された際には非科学的との批判も見られましたが、占いといっても生きものに特定の意味を持たせるものではなく、様々な生きもの特徴を前向きに捉えて、生きるヒントにしてもらおうという趣旨であり、生きものの誤った理解の原因になる事の無いよう、よく考えられていると感じました。「占い」という切り口が、普段なら素通りしてしまう生きものに注目するきっかけになるのなら、それは決して悪いアプローチではないのではないでしょうか。
筆者が訪れたのは平日でしたが、正直閑散としていました。以前別の施設だった頃は大通り沿いに巨大なカエルウオの看板があり、中華街散策に来た人が通りがかりに水族館の存在に気付く様子も見られましたが、現在は立て看板がある程度で、水族館を知っていたり、オープンのニュースを見た人でないと水族館に気付きにくいのが惜しい…。逆に言えば貸切気分でのんびり見て回るには今がチャンスかもしれません。
海水度 ★★
淡水度 ★★
海獣度
ちんあな度 ★★★
フォーチュンアクアリウムの施設情報
所在地
神奈川県横浜市中区山下町144 チャイナスクエア3F
営業時間
11:00~19:00(最終入館 18:30)
入館料
一般(中学生以上):1,400円
子供(小学生):600円
幼児(小学生未満):無料
こそこそオタク話
ご存じの方もいると思うが、元々はヨコハマおもしろ水族館があった場所に再オープンした水族館だ。組織的な繋がりは無さそうだが、館内デザインやキャプションなどの制作陣の多くがすみだ水族館にも関わっているため、すみだ水族館との類似性を多分に感じる。占いに対する突っ込みは十分考慮されていて、安直な批判が肩透かしになるよう作られているのはさすが。
気になる点としては、種名板は最近よくある水槽毎に一種だけであるため、複数の生きものが飼育されている水槽では、どの生きものを指しているのかわからなかったり、表示のない生きものが気になっても種類がわからないということがあるかもしれない。また、おみくじを結んで帰る文化は理解するものの、せっかく注目した生きものが書かれているおみくじを置いていってしまうのは、興味を持ち帰る機会を自ら放棄しているように思えてならない。来館者の興味に対するフォローが充実すればもっといい水族館になるはずだ。